February 11, 2007

杉山好先生を囲んで

毎年2月11日は旧獨協大学杉山ゼミの同窓会です。これは、ゼミ設立(すなわち獨協大学設立)以来の伝統だそうです。先生が獨協の非常勤講師を定年退職されてから、もう10年近く経つと思いますが、誰が何を言わなくとも、この日はバッハゼミの日です。

・・・杉山先生って誰?という方のために。

杉山好先生は、バッハのカンタータの歌詞を全曲対訳された、元祖「バッハ翻訳家」です。東大、獨協大、恵泉短大で教鞭を取られて、今は執筆と翻訳に専念されています。私にとっては語学教育と翻訳の恩師にあたります。

昨年は急な仕事でお休みしたのですが、私はメンバーになって18年で、休んだのは4、5回だと思います。毎年杉山先生のパワーとインスピレーションを補給していただく大事な日になっています。

毎年先生が選曲したバッハの歌入り1曲か2曲、器楽曲1曲などを解説つきで鑑賞し、出席者が近況報告をする、というのがならわしです。

私はあまり「ならわし」で行動するのが好きじゃないのですが、このバッハゼミ同窓会のならわしは好きです。


特に今日は色々と感動することがありました。2つだけ書いておきます。

ひとつには、選曲がカール・リヒター指揮で70年代にスタジオ録音された「マタイ受難曲」だったこと。昨年発売になったDVDの歌詞字幕の対訳を先生が監修されたそうですが、実は父が買ったまま聞いてもなかった同じ頃のリヒター指揮マタイのCDが手元にあり、演奏風景の映像が見られたというのは大変感激でした。

受難曲は大変長い上にオペラではないので(オラトリオと言うジャンルです)コンサートへ行かない限りなかなか演奏風景を見ることができません。マタイは初演の時からオーケストラと合唱団を二手に分けて演奏する特殊な演奏方法なので、音だけ聴いても、よほど通でない限り面白みがわからないのです。

それと、歌詞対訳を読みながら歌を聴いていると字面にとらわれてしまうのですが、歌っている顔、演奏している指を見ると、言葉の深みが心の底までどっしりしずみこむ気がしました。まさに、五感で感じるとはこのことですね。

J.S.バッハ マタイ受難曲 BWV244


それから、私が語学を教えたり翻訳を教えている時に口走る蘊蓄の重要ポイントには、かなり「杉山語」が入っているのですが、そのことを先生のご報告しましたら

「種が良い土にまかれたようでうれしい」

とおっしゃっていただき、大変うれしかったです。


大学で専門課程に入ると、たいてい「ゼミ」に所属して専門の研究をしますが、この「ゼミ」と「種」は語源が同じ。つまり、「ゼミ(ゼミナール)」とは「種をまくところ」である、というのが獨協大学創設者の天野貞祐先生の哲学のひとつです。

(ちなみに、杉山先生は一高(東大教養学部の前身)で天野先生のゼミ生でした)

教師は種をまく人、生徒は種をまかれる土。

同じ種でも、良い土にまかれてきちんと育てなければ、芽を出し実をつけることがない。


良い土にまかれ、実が成って、次の土にまかれて芽が出て実がなり・・・と良い教えが伝わっていく根本がゼミである、と。

つまり、私が先生にまいていただいた種を育てて、実が成り、今はその種が生徒や受講生という新しい土にまかれているわけですね。


会場は数年前から先生のオーディオ・ワークショップにて。先生は元祖オーディオおたくで、こだわりの音を聴かせていただけます。


Audio Workshop









いつもセッティングをしてくださる先輩にも感謝です☆

実はこの「同窓会」、獨協バッハゼミの卒業生じゃなくても参加できます。バッハやバロック音楽の真髄に触れてみたい方ならOKです。お近くの方なら、毎月第2、第4金曜の夜に手作りパイプオルガンの生演奏も交えた講義もありますので、参加希望の方はご連絡くださいね。

会場は川崎市麻生区です。

連絡先は yoko★ohisama4103.co.jp (★を@にかえてください)

benniey at 23:57│Comments(4)TrackBack(0) 翻訳/Translation | ドイツ語/Deutsch

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この記事へのコメント

1. Posted by clover   February 12, 2007 01:59
最近、10年ぶりにピアノを再び習い始めまして、
今バッハのインベンションやってます♪

以前は4歳から高2まで、13年間やってたんだけど挫折・・・。
久しぶりに弾くバッハは、新たな発見がいっぱいです。

ちなみに私のピアノの先生がおっしゃるには、
「右手は言葉、左手が感情」なのだそうです。

2. Posted by ayako   February 12, 2007 11:34
バッハは演奏するのが難しく極力避けて通ってきましたが(笑)、鑑賞するのは好きです。(と言ってもピアノ曲以外はあまり聴いたことありませんが。)

バッハの勉強会、ちょっと興味あります。麻生区なら近いですし。夜というのが難点ですが、今度詳しく教えて下さい♪
3. Posted by Yoko   February 12, 2007 12:46
>cloverさん
忙しいのに色々やってますね(笑)
でも、ピアノは無心(必死?)になれるので忙しいときほど癒される気がします。
夕べはバンドの練習でキーボードひっぱたいて来ましたが、なかなかすっきりしました。

>ayakoさん
近々来年度の予定が送られてくると思うのでコピー差し上げますね。あざみ野からバスで15分ほどです。

私も以前は通ってたんですが、数年前から金曜の夜にレッスンが入ってしまって断念**;
ayakoさんも杉山先生の孫弟子ですから(笑)歓迎されると思いますよ!
あ、ゼミの先輩の藤原さんによるオルガンを使った平均率についての講義が半分ありますからそちらもおもしろいと思います。
4. Posted by ayako   February 12, 2007 23:26
ありがとうございます!
都合が付きましたら是非とも参加させていただきたいと思っています。

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